CREATIVE SPACE HAYASHI

TSUTOMU ENDO

TSUTOMU ENDO


STATEMENT

「Snow meditation」

雪と氷。反射を帯びた単一色の中に繊細な濃淡や明暗が独特の世界を創りだす。色にはそれぞれの性質によって効果があり、生命の源である水から生まれる淡く柔らかな雪の白や氷の奥深い青はインスピレーションを高めたり、心を静める。雪国に育った私は変わりゆく気候の中で、地球への愛を雪のオマージュとして撮り続けている。子供の頃に穴釣りに親しんだ故郷の湖はもう20年以上氷が張ることはなく、厳冬期の雨や極度の豪雪、雪不足に加え雪は年々湿り気を増している。雪や氷は自然と気候によって刻々と表情を変え、やがて水となる。雪の感触や淡い色の奥行き・しなやかな曲線や調和のとれた造形。それら雪の世界を単に奇麗な風景としてではなく、コンセプチュアルな自然との対話として創作に取り組んでいる。

これら一連の作品は「Yukinohara」と名付けた2008年に撮影した一枚の作品に始まる。その一枚に私は心を打たれ、更なる創作に駆り立てた。なぜ自分がこのテーマの創作に没頭するのか?このシリーズを撮り始めた時にはその理由が分からなかった。しかし、雪との対話に惹かれる強い何かがあった。ある時、作品を年代ごとに並べることでそれらの理由が浮かび上がって見えたのだ。ある時期の作品には朝陽に照らされる柔らかな暖色や、しなやか曲線を写すものが多く、そこには女性的で無垢な優しさが表れていた。後に妻となる女性の姿があったのだ。多彩な色、生活の音、行き交う人々。それらの生活風景とは一変する氷雪の世界との対話に自分の内面や感情が引き出されていることを知った。心静まる景色の中で私は「無」となり、そこに「素」の自分が表れる。表れた自然と心の波動は写真の中に生き続けるのだ。この星から生まれる雪という美しい奇跡。私はそんな自然との調和の中に心模様を重ね、生み出されるポジティブな波動を作品として地球に還元していきたい。

PROFILE

遠藤 励

長野県大町市出身。スノーボードカルチャーに精通し雪山での撮影に特化。 90年代より世界各地の雪山を訪れ、エクストリームフォトや雪へのオマージュなどこれまで多くの作品を発表しながらボードカルチャーを牽引。活動当初から写真に対する姿勢を「inner focus」(内面の焦点)と定め、アート表現の探求やネイチャー、カルチャーなど躍動するこの星の輝きと命との調和を求めて旅を重ねている。作品集に18年間のボードヒストリーとライフを描いた「inner focus」(2015 小学館)がある。

Tsutomu Endo started his carrier as professional photographer in 1998 and has been shooting snowboard scenes in Japan and around the world since. Based in Hakuba in the Japan Alps, he naturally gravitated to the backcountry, shooting in the mountains he has been exploring since childhood. Travelling widely, he has acted as an intermediary between snowboard culture in Hakuba and abroad. His recent work has moved beyond action sports into nature and art photography, searching for the beauty of our planet and highlighting changes to our climate and environment.

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